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* SONNET is a resistered trademark of Sonnet Software Inc. SNAP-Field is a resistered trademark of MEL Inc. FEKO is a resistered trademark of EMSS.

Sonnet Suites はモーメント法による3次元プレーナ構造の電磁界解析ソフトです.

モーメント法:解析領域を要素(サブセクション)に分割し,積分方程式を離散化して数値解析する手法.


1. モーメント法の文献

モーメント法について簡素にまとまっている文献は?

『アンテナ工学ハンドブック』(オーム社)の10章アンテナの解析手法に,まとまった記述があります.

"Field Computation by Moment Method", Roger F. Harrington, IEEE PRESS IEEE Order No. PC0363-2 が,開発者自身による書籍です.


解析の基礎と多くの事例は,つぎの文献をご参照ください.

『小型アンテナの設計と運用』,小暮裕明・小暮芳江 共著,誠文堂新光社
『すぐに役立つ電磁気学の基本』,小暮裕明・小暮芳江 共著,誠文堂新光社
『電気が面白いほどわかる本』,小暮裕明著,新星出版社
『電磁界シミュレータで学ぶ 高周波の世界』,小暮裕明著,CQ出版社
『電磁界シミュレータで学ぶ ワイヤレスの世界』,小暮裕明著,CQ出版社

2. 電磁気学の用語について

下記の電磁気学の用語について簡単に説明してください

オープンバウンダリ条件:電磁界問題を解く境界(バウンダリ)条件で,開放形の無限領域を含む開領域問題に対応するために設ける条件.Sonnetは誤差の要因となる4重積分を使わずにFFTで高精度な結果を出すために,4面は電気壁としての境界条件を設定します.

吸収境界条件:電磁波の散乱問題に代表される無限の領域が対象となるとき,これを等価な有限の領域に置き換えるために用いる境界条件.Sonnetでは周囲の4面は電気壁ですが,TopとBottomはFreeSpace(吸収境界)の設定が可能です.

Box共振モード:Sonnetの解析に用いる金属Box自体が共振するモード.このBoxはいわゆる導波管の両端を閉じたものに相当しますから,空胴の共振モードと等価になります.Sonnetの解析空間は,FFTを用いて高精度で解析するために必要な電気壁の境界条件を用いており,周囲の金属Boxは取り外すことができませんが,TopとBottomはFreeSpaceの設定で外すことが可能です.(アンテナや放射の問題)

パッケージモードの共振:実装するパッケージと同じ寸法で,Sonnetの解析に用いる金属Boxの寸法を入力すると,実際のパッケージが共振する様子を解析できます.この共振を指します.

ドミナントモード:伝送路の伝送モードのなかで周波数が最低のものを,基本モード(ドミナントモード)と言います.

高次モード:ドミナントモード以上のモード.

(参考文献は『電磁波問題の基礎解析法』山下栄吉監修,電子情報通信学会,コロナ社)

3. サブセクションサイズを大きくしたい

自動サブセクションサイズを大きく設定するには?

Emの自動サブセクションは,ポート部分や伝送線路の縁を特に細かく設定します. Xmin, Ymin, Xmax, Ymaxで調整できます.ただし明らかに精度に影響する場合は,自動調整後に細かい部分がどうしても残ります. なお幅方向に1サブセクションになると,周波数が高い場合は誤差が大きくなることがありますのでおすすめできません.

Version 7.0 からは,スライダーバーで直感的にメモリー量/解析スピードの調整ができるようになりました.

4. 大きい導体と小さい導体の混在

非常に大きな導体と,非常に細い導体を含んだモデルを解析する場合,どのようにサブセクションを切ればよいのでしょうか?

非常に大きなポリゴンで,ベタグラウンド導体のような場合でほとんど電流密度分布が見られない部分は,別ポリゴンにして,その部分のサブセクションサイズを前項の手法で大きく調整する方法が考えられます.

5. パッチアンテナとBox

パッチアンテナを解析するとき,Boxの大きさはどのくらいが適当ですか?

パッチアンテナの場合,パターンから基板の端まで,シングルパッチアンテナの場合は1/2波長以上になりますが,Sonnet社のいくつかの例ではBox壁まで1〜2波長程度離れています.
アンテナからTopカバーまでの空気層の厚さは,Sonnet社のいくつかの例題では1/4〜1/2波長程度離れています. なおTopカバーはFree Spaceに設定します. (放射パターンを求めない場合も,このガイドラインをご参考にしてください.)

6. 透磁率

metalのプロパティーには透磁率がありませんが,設定できるでしょうか?

透磁率は,誘電体層には設定できます.しかし例えばサーキュレータで用いるフェライトのように,テンソル透磁率を示す場合は解析できません.

7. 誘電体ブリック(Dielectric Bricks)

Dielectric Bricksはテンソル誘電率で表現する異方性媒質を扱えますか?

Dielectric Bricksは異方性ですが,テンソルではありません.テンソルは3x3の行列です.
 εxx εxy εxz

 εyx εyy εyz

 εzx εzy εzz
しかしDielectric Bricksではεxy=εxz=εyx=εyz=εzx=εzy=0です. εxx, εyy, εzzは任意の値で,同じである必要はありません.これはDielectric Bricksについてのみ言えることで,通常の誘電体層は等方性(εxx=εyy=εzz=εr)です.

8. フェライトの解析

透磁率を設定してフェライトの解析ができるか?

Dielectric Bricksの比透磁率は1です.これはDielectric Bricksの基本的な制約で,今後も変わらないでしょう.通常の誘電体層は比透磁率を設定できますが等方性媒質です.
等方性のフェライトシートなどのモデリングはできます.

9. Sパラメータが1を超えた

Sパラメータの結果が1を超えたのですが?

BoxのTopカバーをFree Spaceに設定したとき,Topまでの距離が適切でない場合に1を超えることがあります. アンテナ問題では,通常Topカバーまでの空気層の厚さは,1/4〜1/2波長がよいでしょう.

10. 金属の厚みを設定

金属の厚みを2層で表す方法がマニュアルにありますが,このときの精度は?

この方法では,解析周波数が低いときには誤差が大きくなります.周波数が低いと,表皮の厚さは大きくなります.この値が金属厚よりも大きくなれば,電流は金属全体を流れます.2層で表す方法は,電流が両表面のみを流れることを仮定しています.解析周波数が高くなれば,この誤差は小さくなります. もし低い周波数で誤差を小さくしたいときは,3,4,5層と増やしてください.このときRdcは,たとえば1 Ohm / squareにしたければ2 Ohms / squareを設定します.3層のときは3並列ですからRdcは3 Ohms / squareに設定します.

Rrfは表皮の深さが金属厚に比べ小さいときにのみ使われます. 精度については,3,4,5層と変えたときの結果を比較してみてください.
なお Version 9 からは,Metal Types に Thick Metal Model が追加されました.

参考文献:『デザインウェーブマガジン』 2001 1月号,pp.135-141,CQ出版社

11. 三角のサブセクション(Triangular subsections)

Triangular subsectionsを使用した場合,境界条件がエッジに対して垂直でなくなるため,誤差が生じると解釈してよいでしょうか?

Sonnet em では,1セルの電流方向に対して,屋根状のRoof-top関数を使用して電流を表します.有限要素法などでよく採用されているエッジが一見フィットしているような三角部は,境界がエッジとは垂直でなく誤差が大きくなりますので,Sonnetでは採用していません.

Sonnet em ではすべてを三角部でフィットするようにはモデリングしません.ほとんどの部分は,極力,実際の電流が流れる方向に沿った矩形のセルで対応し,やむを得ない場合のみ三角のセルを使います.

12. 斜め線やテーパライン

斜め線やテーパラインで精度のあるシミュレーションを行うテクニックは?

斜め線で精度を高めるには,

(1)実体に極力フィットさせるために,xまたはy方向のセル寸法を小さくする.
(2)斜め線部分が,他の線路部分よりも長く,しかもtriangular subsectionsが多く発生する場合は,斜め部分の方をxまたはyに沿ってフィットさせてモデリングし,極力triangular subsections部分を減らす,
などが考えられます.

13. セル寸法と誤差の関係

どの位セル寸法を小さくすればこれぐらいの誤差になる,といったデータは?

Emマニュアルの精度のベンチマークの節に概要説明がありますが,Sonnet社では "Convergence analysis" という手法をすすめています.簡単に言うと,セル寸法を何種類か変えて解析し,どの程度から先は変化が無くなるかを見極めるというやりかたです.セル寸法と誤差の関係はモデルの形状によりますので一般化が難しく,この経験的な方法がかなり有効であることがわかってきました.

参考文献:『デザインウェーブマガジン』 2001 4月号,pp.139-144,CQ出版社,『同』 2001 7月号,pp.136-142,CQ出版社

14. 実効誘電率と特性インピーダンス

金属に損失がある場合,実効誘電率と特性インピーダンスをどのようにして求めていますか?

金属に損失がある場合も無い場合も同じ式を使っています.しかし損失がある場合は最終的には特性インピーダンス(Z0)と実効誘電率(Eeff)は複素数になり得ます.回路理論に基づくプログラムではほとんどZ0とEeffは実数です.実際の伝送線路は小さい虚数部を持っています.

15. Via近傍の電磁界

Via近傍の電磁界は計算に入っているのですか?

はい.EmはVia近傍の電磁界を含んで計算します.Viaに流れる電流は電磁界を発生し他の部分へ結合します.

16. ディエンベディング(De-embedding)

参照面を定義しない場合のディエンベディング処理とは?

ポートから参照面までの距離が零の場合のディエンベディング処理を行います.
このときポート付近では,伝送線路が限りなくボックスに近づいていると考えられますが, この部分のボックスへの影響を取り除く処理です.

17. 参照面を使う効果

参照面を設定すると,観測点を参照面まで移動するわけですが,参照面を設定しない場合との違いは何ですか?

ネットワークアナライザの参照面と同様に,伝送線路部分を取り除いてSパラメータを求めます. 参照面を設定しないと,距離が零のディエンベディングを行いますが,実際のデバイスが金属壁(シールドボックス等)で囲まれているのならば, ディエンベッドの指定をはずせば,ポート付近の電磁結合を含んだ現実に近い状態で計算できます.

18. Estimate Box Resonances

Box共振を見つける Estimate Box Resonances を使っていますが,見つからないものがあるようです.有り得ますか? どうやってBox共振を見つけているのですか?

ボックスの各寸法から共振の固有モードを解いています.高次モードは無限に存在しますので,すべてを表示できませんが,影響の大きい方から見つけています.

Box共振は,Estimate Box Resonances で検出できる仕様になっていますが,Box共振を取り除く方法として,最上層のtopカバーを Free Space に設定する方法があります.これを施しても結果が変わらないようでしたらBox共振以外の要因と考えられます.

また金属Boxに収納して実際の測定をされている場合は,同寸法でBoxを設定されればよい結果が出ると思われますが, 金属Boxに収納していない場合は,回路とBoxは,かなり離すようにモデリングしてください.

なおBox共振があると,ABS(Adaptive Band Synthesis)スウィープでは解析点数が極端に増えることがあります.この場合は上記の方法でBox共振を取り除くか,Linear Frequecyスウィープをお試しください.

19. 解析時間

精度を落とさずに解析時間を早くする方法はありますか?

セル数が2のn乗の場合DFTを使い高速になります.たとえばBoxの寸法をうまく調整して256x256セルにして計算時間を比較してみてください.またBoxの縦と横の寸法がかなり異なる場合は,行列が大きくなりますから,縦横はなるべく同じくらいに設定します.

Ver8 以降では,セル数が2のn乗でない場合も,解析時間を早くするような改良がされました.また,ABS(Adaptive Band Synthesis)機能により,最小の電磁界解析から全周波数帯域の正確な特性を求めることができ,解析時間を大幅に短縮しています.

参考文献:『デザインウェーブマガジン』 2002 7月号 CQ出版社

20. 基板の広さと解析時間の関係

パターン(導体)の無い基板の広さは解析時間にどの程度関係するのか?

『パターン(導体)の無い基板』が,パッチアンテナのグラウンド層のような意味でしたら,通常Emでは,解析をする上での金属Boxの底として設定しますから,解析時間には影響しません.  ただし,このグラウンド層を,金属Boxの底ではなく,解析上別の層にとり,しかもその層が周囲の金属Box(Emでは解析上必要なもの)から離れている場合は,サブセクションの対象になりますから,メッシュの細かさによって計算時間が増加します.

モーメント法は金属の表面電流を求める手法で,このため金属部分が計算の対象になります.

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